PAST

デザイナー増田セバスチャンによる<6-D Sebastian Masuda>デビュー。なぜ今ハイファッションブランドなのか?

6-D Sebastian Masuda –Noise it Colorful.-


2018.3.28 wed - 4.3 tue 終了
伊勢丹新宿店本館2階=センターパーク/TOKYO解放区

アーティストの増田セバスチャンさんが手がけるハイファッションブランド<6-D Sebastian Masuda(シックスディー セバスチャンマスダ)>が、今シーズンついにデビュー。
3月28日(水)から本館2階のTOKYO解放区ではじまる期間限定ショップ「6-D Sebastian Masuda -Noise it Colorful.-」出店に先がけて、ISETAN PARK netでは増田さんにインタビューを行いました。

クリエーションに反抗心を込める

ーー増田さんのパブリックイメージはカラフル。そもそもスタート地点をカラフルにしたのは、なぜですか?

90年代、みんなギャルソン(編注:コム デ ギャルソン)の服をローンを組んでまで買っていたんですね。かっこいいし、憧れもしましたけど、当時20才くらいの僕にとってはリアルじゃなかったんですよね。お面やヨーヨーがたくさん並んでいる屋台、駄菓子屋さんで原色の駄菓子を食べた子どもの頃の原風景があるので、カラフルな方がリアルだったんです。

180321-05-01.jpg撮影:GION

だけど黒い服に身を包んだ少し上の世代に、それがモードで時代の最先端だと押しつけられている感じがすごくして。これから僕らが未来を作っていくのに、なんで決められなきゃいけないんだ、って黒にカラフルで反抗する部分がありました。

ーー増田さんは海外ほど日本では評価されていないような気がします。海外ではメジャーで、日本ではサブカルチャーなバランスが創作に影響を及ぼすことはありますか?

すごくありますよ。海外だと「KAWAII MONSTER CAFE」を知っている人も多いですしね。

僕が日本で注目されたのは、きゃりー(編注:きゃりーぱみゅぱみゅ)のミュージックビデオがきっかけですが、多くの日本人はそこで僕のイメージがストップしています。

180321-05-02.jpg

日本では僕のしていることはファッションじゃない、アートじゃないって散々言われてきました。だから僕のクリエーションを否定してきた人たちに文句を言わせない服を作りたかった。それでコレクション経験豊富な人たちでチームを作って「これでもファッションじゃないんですか」っていうのを作りたかったんです。それが<6-D Sebastian Masuda(シックスディー セバスチャンマスダ)>(以下6-D)です。

ーー増田さんのクリエーションの根底には反抗心やアンチテーゼがありますね。

小さい頃から周りとちょっと違う僕を、普通にさせようとする圧力を感じていました。なんで強制されなきゃいけないんだ、大人のすることは違うという思いがあって、今もなお反抗心としてありますよね。

180321-05-03.jpg

世間がよしとするものに対して、違う見方もあることをアートでもファッションでも伝えたいです。

マーケティング至上主義がファッションをつまらなくさせている

180321-05-04.jpg

ーー増田さんの強い思いがある一方で、今はアパレル不況と言われています。なぜファッションブランドを立ち上げたのでしょうか?

世間は景気がいいのにファッションだけしぼんでいるのは、旧システムのままで身動きがとれなくなっているからじゃないでしょうか。それはマーケティング至上主義で売れ筋ばかりで大量生産、大量消費の中で同じような服からチョイスするしかない、おもしろくない状況を引き起こしています。それと裏腹に個性とか多様性とかダイバーシティとか、そういう飾り立てられた言葉がもてはやされてもいます。「この状況下で、どう洋服で個性を出せばいいのか」が出発点ですね。

自分の仕事は、作品を通して自分のメッセージを届けること。個性ってどういうことなのか、心の中にあるカラフルさとはどういうことなのか、という思いを<6-D>の洋服に込めました。

180321-05-05.jpg

実はブランドをローンチするタイミングはずっと見計らっていて。去年くらいからコレクションにもデコラティブなファッションが増えたじゃないですか。パブリックイメージがデコラティブの僕が、抑えたデザインを出すのはメッセージ性が強いと思ったからこのタイミングでデビューしました。もちろんネガティブな意味で抑えたという訳ではなく、デザインを細かく見ると僕らしいデザインであることはわかってもらえると思います。

ーー<6-D>は黒のアイテムが多いですよね。

スケッチやサンプル段階ではもっととんがったデザインも多かったし、もっと派手なものもあったんですけどね。コレクション経験豊富なチームなので、ファッションとして見ることができるのか、検討した結果ですね。僕が最初から受け手のことを考えず全開のビジュアルでデビューしていたら、きっとみなさんは「これはファッションじゃない」って言って無視できてしまいますから。やっぱりコンサバティブな意味で、買うという選択肢を考えると黒は必要ですね。ただ、個性は強めの黒だと思います。

180321-05-06.jpg

ーー増田さんのkawaiiは、砂糖菓子のようなただ甘いものではなく毒があります。黒が多いのも毒の部分を抽出したからのように見受けられました。

最初にストレートにカラフルなコレクションをすると、そのイメージから抜け出せない。僕の作品にあるようなカラフルな色は<6-D>を続けていくなかで「いつか出す」カードとして取ってありますが、デビューコレクションは色を削ぎ落とすことでメッセージを込めました。

商品を直接手にとってもらいたいからTOKYO解放区にアプローチ

180321-05-07.jpg

ーー<6-D>を立ち上げるにあたって、増田さんからTOKYO解放区にアプローチされました。その理由を教えてください。

商品を作っても見てもらわないと意味がないし、ファッションはデザイン側と流通側が組んで初めて成立すると考えています。伊勢丹新宿店さんには人がたくさん集まるし、お客さまに驚きを与えられる場だと思ったからです。

それにお付き合いも長く、リスペクトしている寺澤さん(編注:TOKYO解放区 バイヤー)がどういう仕掛けを作ってくれるのかにも興味がありましたね。

ーーECサイト全盛のなか、百貨店に出す意義はなんでしょうか。

ものには魂があって、触って感じてもらった方がメッセージは伝わると思っています。直接ものに触れると、デジタルでは見えなかったものが見えてきます。<6-D>のアイテムも写真では気づかなかったけど、実物を見ると「本気を感じる」って言われるんですよね。だから手にとって、見てもらうのは大切かな。

180321-05-08.jpg

ーー<6-D>が次に仕掛けようと予定していることはありますか?

日本では伊勢丹さんと組んでおもしろいことをしていくつもりですが、僕の主戦場が海外になっているので海外から日本にどう仕掛けていくか、を考えています。<6-D>を出店するなら拠点にしているニューヨークにしたいですし、「これが店舗なの!?」っていうお店にしたいですね。

日本を飛び出して作品だけで勝負できるニューヨークへ

180321-05-09.jpg

ーー拠点をニューヨークにされた理由はどうしてですか。

日本だったらファンが1000人でも、世界に行けば10万人になる。だったら多い方がいいっていう単純な理由と、僕のことを知らず、カテゴライズされない環境がやりやすいからですね。作品だけで勝負できるので。

例えば、僕は「TIME AFTER TIME CAPSULE」というアートプロジェクトの中でハローキティ型のタイムカプセルを作っていて、その作品はニューヨークやロサンゼルスを回って今アラスカの美術館に展示されています。アメリカでもキティちゃんは大人気だけど、アメリカ人の中にはキティちゃんを日本のキャラクターということを知らない人も当たり前にいるわけです。いいものがほしい感覚はあっても、作った人間が誰かは関係ないんですよ。だからおもしろければ評価してくれるし、つまらないものはコレクションにさえ来てくれない。フェアであると同時にシビア。

アートディレクターで有名になってファッションブランドを始めた人はいると思いますが、ファッションもアートもエンターテインメントもど真ん中で戦えている人って今いないですよね。それがエキサイティングだと思うし、海外ではジャンルを問わずに行き来している僕の活動がおもしろいって言われます。

180321-05-17.jpeg

ーー日本は役割がセグメントされすぎているんですよね。

それはすごい思いますよ。

クライアントワークでも、きっとどこの代理店出身かってすごく重要なんだろうなと思うシーンが多いです。そこに僕みたいなどこの出身でもない人間が入ってくると、そういう人たちに「得体の知れないのがポンと来ちゃったよ」って思われているのはすごく感じます。でも僕の方がユーザーと距離感が近いので数字が取れてしまうっていうことも多い。

ーーそういう人たちは増田さんを怖がっているのかもしれませんね。

でもそれが伸び悩んでいる日本の現状だと思います。日本はいいものを作っていますっていうだけで、おとなしいし、遠慮しているし、ルールに縛られている。それじゃ世界では通用しない。

この間のニューヨークファッション・ウィークでは実験的な作品がすごく多くて、特に韓国デザイナーの勢いがありました。みんな、やっていないことやろうとするんですよ。アピール力もあるし。日本は売るために小さくまとまるし、ここ10年くらいは自画自賛で止まっている。だけど中国は日本みたいに自分の領域を守る感じはなく、一致団結して攻めていきますから。個人のパワーもすごいですけど、国が支援していますしね。

今、客員研究員としてニューヨーク大学に通っていますが、日本人って校内で日本人らしき人を見かけても声をかけないじゃないですか。でも中国の人はばーっと集まって結束するし、それが武器になっている。しかも購買層も持っています。

180321-05-11.jpg

ただ、中国・韓国の人のクリエイティブはすごくおもしろいけど、日本人ならもっと高いクオリティのものが作れる、と思うことはありました。<6-D>を立ち上げてパタンナーさんや縫製業者さんとやり取りをしていると、なおさら日本のクオリティの高さを感じます。だから日本人も結束して発信していかないと。

ーー積極性のなさ以外に、今の日本人に足りていないものはありますか?

例えば駅を一つとっても、クレームが来ないよう、説明の文字がいっぱい書いてありますよね。でもデザイン的には、そういう文字って汚いだけ。だから今の日本にはファッション観が欠けていると感じています。アートもデザインも、ファッション観があった方が質の高いものになると思うんです。

ファッション観は日本に閉じこもっていたのでは身につかない。若い子たちは海外に興味がないと聞きますが、外から見た日本って全然違うので、若いうちに海外に飛び出してほしいですね。

180321-05-12.jpg

180321-05-13.jpg

ーー最後に今回の期間限定ショップのみどころを教えてください。

これまでのやり方が全部崩れているのが今の時代。東京で初めてフルラインナップが揃う期間限定ショップです。アイテムを手に取ってもらって、過渡期にある今を感じてほしいです。

180321-05-18.jpeg

僕でさえ、大人だから黒を着ないといけないっていう同調圧力のようなものを感じます。大人になるとその人自体が持つパワーで社会が形成されていくので、大人は無難とかファストファッションに着地しないでほしい。そういう環境とか考え方を変えて、洋服が楽しくなる日本になればいい。そういう僕の思いを感じてほしいです。


増田セバスチャン PROFILE

180321-05-15.jpg

アーティスト
1970年生まれ。演劇・現代美術の世界で活動した後、1995年にSensational Kawaiiがコンセプトのショップ「6%DOKIDOKI」を原宿にオープン。2009年から原宿発のKawaiiカルチャーを伝えるワールドツアー「Harajuku "Kawaii" Experience」を主催し、ロンドン、パリ、サンフランシスコ、ロザンゼルスでファッションショー、ワークショップ、講演を開催。2011年きゃりーぱみゅぱみゅ「PONPONPON」のMV美術や、2014年にニューヨークで開催した個展をきっかけに世界的に注目され、2017年に文化庁文化交流使に就任。同年10月にファッションブランド「6-D Sebastian Masuda」を発表。


"6-D Sebastian Masuda -Noise it Colorful.-"

180321-05-16.jpg

■期間:2018年3月28日(水)~4月3日(火)
■場所:伊勢丹新宿店本館2階=センターパーク/TOKYO解放区

2018年春夏シーズンにデビューする<6-D Sebastian Masuda>。本館2階=センターパーク/TOKYO解放区に、3月28日(水)から4月3日(火)までの期間限定でショップ「6-D Sebastian Masuda -Noise it Colorful.-」を出店。

1stコレクションのテーマを「Noise it Colorful.」とし、年齢を重ねても内面に沸々と残る精神的なカラフルさ...多様性、過激さ、遊び心を持ち続けるオトナ達へのメッセージが込められている。ビジュー付きテーラードやツイードジャケット、ワンピースなどフォーマルなものから、アートワークをプリントしたカットソーやタイツ、PVC素材のボウタイなど気軽に取り入れられるアイテムまで幅広く揃う。
また、同期間に行われる「JAPAN SENSES」キャンペーンに合わせて一点物のマルチファーチャームや帽子ブランド<CA4LA(カシラ)>とのコラボハットやバレッタを先行発売予定。増田セバスチャンのアトリエ「Lovelies Lab. Studio」で制作されたぬいぐるみ作品「YOUR BEAR」シリーズやアート作品の新作も展示販売される他、「6%DOKIDOKI」、アートグッズブランド「Sebastian Masuda ART」のアイテムも販売される。

4月2日(月)には増田セバスチャン来店イベントも開催。詳細はTwitterの6-D Sebastian Masudaアカウントをチェック。


伊勢丹オンラインストアにTOKYO解放区の特集ページがOPEN!

180228-06-o.jpg

6-D Sebastian Masuda –Noise it Colorful.-のキーワード

SHARE

  • twitter
  • facebook
  • LINE