フードエッセイスト平野紗季子×DJみそしるとMCごはん 伊勢丹新宿店の食にまつわるエトセトラ
平野紗季子の(食べれない)フード天国
食べることが大好きな人にとって、美食の宝庫・デパ地下はめくるめく快楽を堪能することができる特別な場所。未知の食材にときめくばかりか、キッチンで調理するシェフの横顔や、季節を感じる生鮮食品の数々、美しく並べられたお菓子やお弁当たちにも胸が高鳴ります。
そんな至福の気持ちを、ブログや歌を通して独自の言葉で表現しつづけているのが、フードエッセイストの平野紗季子さん(以下、平野さん)と、DJみそしるとMCごはんさん(以下、おみそちゃん)。そこで今回、「食べることが好きで好きでしかたがない」という二人に、伊勢丹新宿店食品フロアの気になる食について伺ってみました。
今宵は、閉店後の伊勢丹新宿店食品フロアで平野さんとおみそちゃんに、魅惑の食体験をしていただきましょう。閉店後の食品フロアに足を踏み込んだ二人は、なにやら大興奮。食にまつわるトークが止まらないのです。
閉店後の食品フロアでは「ごはんたちが眠りにつく」
おみそちゃん:まさか閉店後の食品フロアに潜入できるなんて思ってもいなかったので、ほんとに興奮しています。食材だけじゃなくて、パンを運ぶためのケースだとか、いろんなものが興味深くて目移りしちゃうね。
平野さん:うんうん。勢いよく掃除しているスタッフさんの筋肉もたまらない!それになんだか「眠りにつくごはんたち」って感じで新鮮だね。閉店近くになるとセールとか始まって、店内の活気が一気に上がって祭りみたいだけど、あの熱が冷めたあとの世界ってこんなだったのか〜ってうっとりだ。祭りの後の静けさだね。
おみそちゃん:いいオーラが漂ってるよね、食材にも空間にも。もくもくと、それにテキパキとしているところがすてき。昔、飲食店でバイトしていたことがあるから、そういう仕草をついつい見ちゃう。飲食店でバイトをはじめたのは、昔から食べることが好きだったから。その頃から、行ってみたいお店はいっぱいあったけど、一人で入る勇気がなくてね...。「オンタイムが無理ならオフタイムに攻めればいいのでは」って思ったのが、飲食店でバイトするきっかけだったの。そういう経験があるから、閉店後のお店のオーラには敏感で、お店の"すっぴん"を見るとそのお店がどういうお店かわかる気がするな。
平野さん:わかる!自分が暮らしている街だと余計その"すっぴん"が見えて愛しくなるなー。開店前のレストランでまかない食べてる人たちがいい雰囲気だとか、閉店後も楽しそうに後片付けしてるなあとか。そういう瞬間を見ることで余計に店を好きになったりする。
伊勢丹の食品フロアには、世界が凝縮されているみたい
―食を愛するお二人が、愛してやまない伊勢丹新宿店の食を教えてください。
平野さん:伊勢丹には気になる食がいっぱい!食品フロアのお気に入りは、京都の料亭「和久傳」のお店。角地にバーンってあってオーラもすごいし値段もすごい(笑)。れんこん菓子 西湖(せいこ)、いちじくのゼリー「珠玉」(※1)、からすみ餅(冬季限定)だとか、季節ごとに登場する高級グルメから目が離せない。ここで「やー!!」って勢いで買うのはとっても気持ちいいし、期待を裏切らないおいしさに毎回唸らされてしまうな。夏の間にはまったのは、赤坂有職の夏みかん寿司。バスボムみたいな見た目の夏みかんを開けたら、中にお寿司が詰まっているという一品。「夏みかんを弁当箱として使うなんて!」っていう衝撃が走ったお寿司だった。
おみそちゃんが人生初のアーティチョークと出会った「フレッシュマーケット」
自炊派のおみそちゃんは、ここで「トムヤム野菜セット」を買って帰ることもあるそう
おみそちゃん:私も、伊勢丹では初めての出合いに衝撃を受けることが多々あります。人生初のアーティチョークを試食したのも伊勢丹だったんですよ。「これって、どうやって食べたらいいの?」って想像するだけでもワクワクするじゃないですか(笑)それに、グラパラリーフにも伊勢丹の生鮮食料品コーナー「フレッシュマーケット」で出合いました。このグラパラリーフは、買ったその場で食べてみたくらい(笑)近所のスーパーでは見かけないものがたくさんあるから、世界が凝縮されてるって感じがします。
フレッシュマーケットには、お肉がずらりと並ぶコーナーも
お肉の並べ方もかわいくて、「みんなで体育座りしているみたい」とおみそちゃん
おみそちゃん:そうそう、お肉の並べ方もかわいくて、お肉たちがみんなで体育座りして並んでるみたいに見えたんです。ひとつひとつが光ってみえて、無意識のうちに笑顔になっちゃう自分がいましたね。あと、合挽のことを「コラボハンバーグ」って表記していたのにもはまりました(笑)
買物中は「聞かなきゃ損!」どんどん店員さんにも話しかけちゃう
キッチンステージでは、1週間から2週間ごとに新しい食テーマのメニューを紹介する
調理姿も見られるオープンキッチンが魅力のキッチンステージ
―食品そのものだけではなくて、その佇まいなど、いろんなところに注目してるんですね。
平野さん:そうですね。食品だけでなく、そこで働いている人にも自然と目がいきます。これは、おみそちゃんが気づいたんですけど、キッチンステージは1週間とか2週間単位で各地の有名レストランがポップアップショップを開くんだけど、そこで働いているシェフは、いつも同じ顔触れなんです。企画と企画の間にオフの日がなくても同じ人が調理しているから「いつ新しいメニューの調理法を勉強しているんだろう?」って、謎が深まります。だから、私たちは二人で"カメレオンシェフ"って呼んでいるんです。
おみそちゃん:キッチンステージなんてまさに、開放的なオープンキッチンだから、調理姿も見ることができて参考になります。それに一番嬉しいのは、キッチンステージで食べたもののレシピをもらえるところ。最近も南米料理の荒井商店さんから、ペルー料理のレシピをもらったんですけど、好きなお店の秘密を教えてもらっている感じでドキドキでした。
平野さん:それと、バイヤーさんの企画力にも感服してしまいます。催物場のフードコレクションだって「ハワイ特集」「南米特集」とかならともかく、「家族の団欒を演出する食(※2)」なんて切り口の難しそうなテーマでも、ちゃんと企画にぴったりのしかも見たこともないような新鮮な食べ物ばかりが集まってくる。本当に、伊勢丹のフードバイヤーさんは、私が最も尊敬する人の一人。ものすごい知識量と食に対する愛がないと絶対できないお仕事だと思います。いつか絶対会ってみたいし、いろいろ話を聞いてみたいです。
おみそちゃん:私は買物中に、店員さんにいろんなことを聞きますよ。おすすめの調理法だとか味の違いだとか、何を聞いても丁寧に教えてくれるので「聞かなきゃ損!」って気持ちになります。自炊派なので、教えてもらったことだとか、気になった味はどんどん取り入れていきたいんです。

平野さんが「一口で癒される大好きな味」と語るチョコバナナオムレット
―伊勢丹の食品フロアに来たら、買って帰る食材はありますか?
平野さん:私は日本橋千疋屋総本店のチョコバナナオムレットが定番です。一口で癒される大好きな味ですね。伊勢丹はとっても刺激的だけど、練り歩きすぎると「これ以上ハンティングする気力がない」っていう状態になることもあって。そんなときに立ち寄るのが千疋屋です。
おみそちゃん:私は大好きな野菜コーナーをぶらぶらすることが多いですね。「これ全部あればトムヤムクンが作れる」という"トムヤム野菜セット"だとかとにかく気になるものがたくさんあるから、これからも定期的にチェックしたいです。
二人の食にまつわるトークはエンドレス...。そんな平野紗季子さんとDJみそしるとMCごはんさんがコラボレーションするポップアップイベントが9月29日から、伊勢丹新宿店本館2階=センターパーク/TOKYO解放区でスタート。こちらも、お見逃しなく!
「平野紗季子の(食べれない)フード天国」
2015年9月29日(火)〜10月13日(火)
伊勢丹新宿店本館2階=センターパーク/TOKYO解放区
DJみそしるとMCごはんのコラボアイテムも登場!
いま注目されている「食」というファッションの新たな切り口。話題のフードエッセイスト平野紗季子の視点からセレクトしたフードにまつわるアイテムや、DJみそしるとMCごはんとのコラボレーション商品などをご紹介します。読む・歌う・まとう・描く・・・あらゆる表現と結びついた"新しい食欲"に出会ってください。
【DJみそしるとMCごはん リリース情報】
9月29日から本館2階=TOKYO解放区で開催されるイベント「平野紗季子の食文化祭」に合わせて、DJみそしるとMCごはんが書き下ろした新曲が同日リリースされます。新曲のタイトルは『THIS IS ISETAN UNDERGROUND』。食の宝庫である伊勢丹本館地下の食品フロアをはじめ、伊勢丹新宿店について、彼女のユニークな視点で紡がれたラップで綴られています。深夜の伊勢丹新宿店を舞台にイブクロちゃんたちが踊り出すというストーリーのミュージックビデオにも注目。DJみそしるとMCごはん - THIS IS ISETAN UNDERGROUND
閉店後の伊勢丹新宿店館内に、光の落書きが次々に描かれる、フード・グラフィティ・ミュージックビデオ。
最新鋭のライトペインティング機材pixelstickを全編に渡り使用。
2015.9.30 Release
『THIS IS ISETAN UNDERGROUND』
Director - Kazuma Kitada(TOKYO)
CD / Planner - Takuro Nakajima(beacon)
Producer - Maiko Shimada(TOKYO)
Cameraman - Shingo Ikeura
Tech Support - OneMe
※1:夏季限定につき、9月30日で販売終了
※2:こちらの催事は終了しております
Text:Reiko Matsumoto
Photo:Hideyuki Seta