CINRA.NET Special Collaboration

新宿と文芸

新宿と文芸

シンガーソングライター吉澤嘉代子

詩人文月 悠光

言葉を愛する二人のアーティストと新宿を遊ぶ

16歳から作詞作曲を始め、独特の世界感を持った物語性の高い楽曲が人気を集めるシンガーソングライターの吉澤嘉代子さんと、高校三年生で上梓した処女作『適切な世界の適切ならざる私』(2009年)で中原中也賞を受賞した詩人の文月悠光さん。「詞」と「詩」。それぞれの形で言葉の力を信じて活動し、お互いの作品を尊び合う二人は、新宿という街に何を思うのか。言葉を愛する二人にふさわしい新宿のスポットを、お気にいりの本と一緒に巡ってもらった。

インタビュー・テキスト:冨手公嘉
撮影:西田香織
編集:竹中万季、菅間碧
衣装:ワンピース(吉澤嘉代子) / EAUSEENON(問い合わせ先:SUSU PRESS / 03-6821-7739)

Story

今回の登場人物

文月 悠光

シンガーソングライター

吉澤嘉代子

TwitterInstagram

1990年、埼玉県川口市生まれ。鋳物工場街育ち。 父の影響で井上陽水を聴いて育ち、16歳から作詞作曲を始める。ヤマハ主催『”The 4th Music Revolution” JAPAN FINAL』にてグランプリとオーディエンス賞をダブル受賞。2016年、『ROCK IN JAPAN .FES 2016』、『SWEET LOVE SHOWER』など大型フェスヘ出演。2017年、3rdアルバム『屋根裏獣』をリリース。5月7日、東京 国際フォーラム ホールCを含む「獣ツアー 2017」開催決定。4月放送バカリズム主演ドラマ「架空OL日記」主題歌起用も決定している。また、私立恵比寿中学、南波志帆らへの楽曲提供も行う。

文月 悠光

詩人

文月悠光

TwitterInstagram

1991年、北海道生まれ。2014年、早稲田大学教育学部卒業。中学時代から雑誌に詩を投稿し始め、16歳で現代詩手帖賞を受賞。高校3年時に出した第1詩集『適切な世界の適切ならざる私』(2009年)で、『中原中也賞』、『丸山豊記念現代詩賞』を最年少受賞。早稲田大学教育学部在学中に、第2詩集『屋根よりも深々と』(2013年)、2016年9月、初のエッセイ集『洗礼ダイアリー』、同10月、第3詩集『わたしたちの猫』を刊行。雑誌に書評やエッセイを執筆するほか、NHK全国学校音楽コンクール課題曲の作詞、詩の朗読、書評の執筆など広く活動している。

(プロフィール写真:キムラタカヒロ)

 rendezvous 

待ち合わせは、街中の喧噪を忘れる庭園で

屋上庭園「アイ・ガーデン」伊勢丹新宿店ここは伊勢丹新宿店の屋上にある「アイ・ガーデン」。平日でも朝からベビーカーを押すお客さまが集い、お昼どきには家族連れやお買い物途中の人たちがひとときの休憩をしにやってくる。喧噪の街・新宿にありながら、緑に囲まれた静かな空間となっているこの屋上庭園は、まるで都会のオアシスのようだ。久しぶりに会うという二人は、この場所で待ち合わせをすることに。

文月:お久しぶりです。先日はライブに呼んでいただき、ありがとうございました。
吉澤:こちらこそ。ツアーファイナルも追加公演も来てくれて、嬉しかった。
文月:本当に素敵でした。思えば、初めて路上ライブで見たときからずっとファンで。
吉澤:わたしも文月さんの作品が大好きなんです。今日は「新宿を感じる、お気にいりの本」を持ってくるということだったので、文月さんのエッセイ集『洗礼ダイアリー』を持参しました!
文月:ありがとうございます。新宿を感じる本って難しいなって思ったけど、わたしもいくつか選んできましたよ。

文月:伊勢丹新宿店にお買い物に来ることはありますか?
吉澤:はい、店舗のないブランドのアイテムを探しにいくことが多いですね。文月さんは?
文月:わたしはいかにも東京という感じがしてどうも足が向かなかったのですが、ここなら落ち着いて本も読めるのでいいですね。
吉澤:わたしもアイ・ガーデンの存在は知らなくて、今日初めて来たんです。暖かくなったら、また一緒に来ましょう。

 1 

「本のある生活」を彩るグッズと音楽書籍

BIBLIOPHILIC & bookunion 新宿新宿三丁目のビルの中にある BIBLIOPHILIC & bookunion 新宿。ディスクユニオン新宿中古センターの隣に併設されており、「本のある生活」を楽しむための生活用品をテーマに、本の付箋やしおり、ノートにペンなどの文具小物が揃う。そのほかにも、音楽に関連した書籍やスタッフの審美眼で選んだZINE、古いポスターやミュージシャンのライブパンフレットなども数多く取り扱っている。

吉澤:文月さんは、文具はよく買うんですか?
文月:そうですね。本のしおりは友達のプレゼント用にもよく買います。自分では購入しないけど、もらったら嬉しいものってありますよね。吉澤さん、このブックカバーどうですか?
吉澤:かわいい! ここでプレゼントを選ぶのも楽しいですね。

吉澤:これ、井上陽水さんのライブパンフレットに、松任谷由実さんがメッセージを寄せてる。いま思うと、ずいぶん豪華ですよね。昔はこんなに質の高いパンフレットを会場で買えたんですね。

文月:吉澤さんの歌詞は、井上陽水さんをはじめとしたニューミュージックに影響を受けていると聞きました。
吉澤:はい。短い歌詞のなかに、世界が凝縮されているのが魅力的だなと思っていて。当時の歌謡曲の詞世界に影響されている部分は少なからずありますね。

 2 

純喫茶で、猫と読書。時間を忘れていつまでも

アルル1978年創業の純喫茶アルルは、看板猫の石松(イシマツ)と次郎長(ジロチョウ)がお出迎えしてくれる癒しの空間。「もともとぼくは、伊勢丹新宿店で1年くらい働いていたんです。だから、新宿にはゆかりがあって。駅前は忙しい街だけど、少し離れた喫茶店に来ているときくらいはゆっくり過ごしてほしい」と、マスターの根本さん。地域に根づいた喫茶店として、いつも和やかなコミュニケーションが店員と客(と猫)の間で交わされている。